コラム16 ドイツ語を話すのに慣れる方法

ドイツ語の文法・読解問題は解けても、会話や文章を書くのが苦手な方を、筆者は大学や語学学校で何度も目にしてきました。

それは一体なぜでしょうか?

「頭の中に浮かぶ母国語の単語や文章を、ドイツ語につなげる訓練をしていない」からです。

これは発音やメロディーのことを言っているのではありません。

あくまで自分の言いたいことや考えていることをドイツ語で表現できるかどうか、ということです。

ドイツ語の単語の意味を知っていたり読めたりできるということは、語彙力はあるはずです。

なのに、その逆になると出てこない。

では、出来るようになるための訓練は一体どうしたらいいのでしょう?

筆者が行っていたのは、単語帳を作るときやノートに意味を書くときは、

「日本語→ドイツ語単語の順に書く」でした。

ドイツ語を学習し始めて十数年経った今も変わらずやっている訓練の1つです。

 

たとえば

りんご
r/Apfel
バナナ
e/Banane
牛乳
e/Milch

 

のように、まず日本語の単語を左に書いて、右にそれに該当するドイツ語単語を書く。

横文字を読む場合は左から右へ目線が動きます。

するとまず日本語を読み、そして次にドイツ語を読むことで「日本語をドイツ語に直結させて」覚えることが出来ます。

それに慣れるとその物体や概念が思い浮かんだ際に、すぐにドイツ語に置き換えて話したり、書いたりすることが出来るようになります。

 

また、「1つの単語があれば、それに付随した動詞や形容詞を組み合わせる」こともやりました。

リンゴを例にとりますが、色々なキーワードを組み合わせることが可能です

 

リンゴは   赤い・新鮮だ・ 熟れている
Apfel  ist   rot  frisch  reif….

 

皮を向く・切る・収穫する・すりおろす
einen Apfel schälen, schneiden, ernten reiben…

 

このようにりんご1つをとっても色々な単語をセットにすることが出来ますね。

更に、1度覚えた単語を、もう1度見返す機会を作る。

これはどのように訓練されるでしょうか? これには紙の辞書が必要です。

「新しく目にする単語は必ず蛍光ペンなどでマーキングすること」

すると、別の単語を調べるためにページを開くと、過去にマーキングした単語・意味・用法なども同時に目にします。意図的に読まなくても、目にするだけでいいのです。

最近では、軽量で検索も素早い電子辞書を用いる方も多いです。電子辞書は、翻訳作業や咄嗟の通訳には便利です。ただし、マーキングして1度チェックした単語をもう1度読み返す、という作業には向いていません。紙の辞書も電子辞書も、一長一短があると言えますね。

 

ドイツ語の能力というのは語彙・表現習得量に尽きます。

何度も辞書や文法書を読み、見聞きしてコツコツ習得していく地味な作業です。

その作業も積み重なれば、気づいた時にはいつの間にかドイツで生活・仕事をしている時が来ているかもしれませんよ。