疑問・質問 No.19  ドイツのオフィスでの挨拶について

【質問内容】

 

ドイツのオフィスで来月から働くことになりました。

拙いドイツ語でやっていけるかドキドキしています。
以前質問箱のなかで、Schönen Feierabend「お疲れ様」と紹介されていましたが、これは仕事を終えて帰る人に言う言葉か、残っている人が帰る人に言うのか、はたまた双方で言い合えるのか疑問に感じました。仕事を終えて帰る人は「お先に失礼します」と日本では言いますが、これに相当する言葉はありますか?

オフィスでほかの人の部屋にノックをしてはいるときの「失礼します」に対応するドイツ語はありますか?
またMahlzeit」はお昼休みに出掛ける人にかける言葉ですか?それともお昼休みをとる人が残っている人にかける言葉ですか?

今までドイツに住んでいて、日常生活では言ったことも言われたこともありません。実際はどんな感じで使われているのでしょうか?

 

【回答】

ご質問ありがとうございます。
来月からドイツでお仕事ですか。今はその準備でとてもお忙しいことと思われます。

早速ですが以下回答いたします。

 

「Schönen Feierabend」は「お疲れ様でした」「お疲れ様です」「お先に失礼します」などの感覚で言っても差し支えありません。

たとえ上司が相手であっても、「Tschüss!」とか「Bis morgen!」でOKです。

少なくとも私のオフィスではそう言い合っています。

こちら側から先に帰る人に向かって言っても良いですし、自分が言われた場合は

Danke, gleichfalls」「Danke, auch so!」「Danke, dir (Ihnen )auch!(あなたもね)と

言うといいでしょう。

「お疲れ様です」はあくまで意訳です。

Schönen Feierabendを直訳すれば「素敵な夜の宴を」になるのですが、それはつまり

「仕事から解放された後のハッピーな時間」ということです。それを日本人が使う表現として「お疲れ様です」という訳を当てているにすぎません。

 

「Guten Tag」などもそうですが、この挨拶は正確には「Ich wünsche dir (Ihnen) einen guten Tag.」の略です。それを縮めて「Guten Tag」と言っているに過ぎません。

意味としては「私はあなたに良い1日を望みます」ですので、「こんにちは」という日本語の表現とは全く違うものです。

あくまで「状況にふさわしい表現」を日本語に当てはめているにすぎません。

ちなみに「仕事終わったので帰ります」と言いたければ「Ich mache Feierabend」でOKです。

 

ところで、私のオフィスだけに限らないと思いますが、同僚はあくまで同僚であり先輩社員に関して敬意は示すものの、日本人だけのオフィスほどの堅苦しさはありません。

あくまでKollegen 同士です。簡単に言えば、Chef(上司)とKollegen(同僚)だけの関係です。

そういう気苦しさが無い状況であっても注意すべきことは、最初は誰に対しても「Sie」を用いることです。「Du」と呼ぶ際は、相手から「Duで呼び合おう」と提案されるまで待ちましょう。

相手が年下であっても同様です。

自分より年上の先輩社員や上司から「Sie」で呼ばれ続けたとしても、それは相手が敬意を払ってくれていますので、「自分のほうが年下で新人だからDuでいいよ」などとは言わない方が良いです。

少し話がそれましたが、次の「相手の部屋にノックして入る際の表現」として、

Entschuldigung für die Störung.(お邪魔してすみません)とか、

Haben Sie für mich etwas Zeit?(少しお時間ありますか)などがおススメできます。

もし相手が何か作業中などの場合も、Entschuldigung für die Unterbrechung.(中断させてすみません)などと言って話しかけると丁寧です。

最後に「Mahlzeit」ですが、だいたい12時~14時のお昼休みの時間に使われています。休憩している人に向かってではなく「そのぐらいの時間帯に」です。筆者のいるオフィスの管理人に、建物の外で会った際に言われたこともあります。

小学館独和大辞典によれば「正午ごろの挨拶」となっていますが、本来の意味は「食事の時間」です。それが転じて、お昼の挨拶として使っているということでしょう。

挨拶に関しては地域差もあると思います。「Mahlzeit!」は、筆者が以前デュッセルドルフで仕事をしていた際の周囲では皆無でした。他にも「Servus!」などもヘッセンやバイエルンでは多くの人が挨拶に用いていますが、ノルトラインヴェストファーレンでは誰も言っていませんでした。

色々不安なこともあると思いますが、まずは色々話すことが出来るドイツ人の同僚を味方につけましょう。するとドイツ語に関して質問しやすくなります。「どう言ったらいいの?」ではなく

「こういう言い方は正しいのか?」ときかないと段々鬱陶しがられますのでご注意を。

余談ですが、最初の出勤日にはやはり菓子を持参すると効果的です。

それを「Einstand leisten」と言いますが、和風のお菓子ならなおさらです。和風といっても

お饅頭とかおせんべいやおかきではなく、抹茶チョコとか和風のケーキですね。得体の知れないものはたとえ食べ物だとわかっていても口にしない人もいるからです。筆者は「東京バナナ」を断られたこともあり「これがドイツ人の食に対する保守的な感覚か」と思い知りました。

そういうわけで「ドイツにもあるお菓子の種類で和風」が理想です。筆者はカステラを

「日本のケーキ」と言って振舞ったことがありましたが、大当たりでした。

今後もご質問お待ちしております。生活に関することでもお気兼ねなくどうぞ。