【質問内容】
試験対策にドイツ語の文章を読んでいたのですが、わからないところが出てきてしまったので質問させて下さい。
In seinem letzten Kinofilm beshäftigt sich der alte Fritz nach knapp dreißig Jahren noch einmal mit einem seiner zentralen Themen – dem Menschen als willenloses Werkzeug in der Hand beherrschender Mächte.
“nach knapp dreißig Jahren noch einmal”
と
“dem Menschen als willenloses Werkzeug in der Hand beherrschender Mächte.”
をどう訳したらいいのかわかりません。
一つ目は、knappの訳がしっくり来ず、二つ目は、beherrschender Mächte の文法的な役割(主語、述語などのことです)がわかりません。
【回答】
ご質問ありがとうございます。
フリードリヒ大王の映画の評論か何かの文章でしょうか?
“nach knapp dreißig Jahren noch einmal”
knappは「ぎりぎり・かつかつ・すれすれ・もう少しで」のような意味が本質ですので、
時間や年数と一緒になった場合は「もう少しでその数値に達する」という意味になります。
つまりその数字より、「少し少ないくらい」と考えるのが適切です。
この文の場合は、「30年弱ほど後にもう一度」(30年経ったわけではなく29年半~29年11か月程度?)と考えるのが適切でしょう。「大体・おおよそ」の意味で多用されるungefährやcircaは少なかったり多かったりしますが、knappの場合はそれより少ないです。
“dem Menschen als willenloses Werkzeug in der Hand beherrschender Mächte.”
直訳すると「支配している権力の手中にある、意志のない道具としての人間」です。
ご質問のbeherrschender Mächte を文法的に説明します。
Mächteは「権力・支配・力」のMachtのPlural(複数形)です。
beherrschender は、「支配する・使いこなす」などのbeherrschen のPartizip Präsens
(現在分詞)と呼ばれる形で、「~している」という意味になります。
名詞につくと形容詞の役割を果たします。
(例)ボールで遊んでいる子供 das mit dem Ball spielende Kind.
庭で吠えている犬 der im Garten bellende Hund.
そしてこのbeherrschender Mächte は直前のHandに所有を表す「~の」Genitiv(2格)でかかっています。
Genitivの例 Das ist das Auto meiner Mutter (あれは私の母の車です)
「Hand beherrschender Mächte」はHandにGenitivでかかっており、形容詞の変化は複数
2格となるので、「支配している権力の手」となります。
この場合、「権力」といっても色々な圧力とかしがらみとか様々な種類の「力・権力」があるので複数なのでしょう。
またMensch という言葉は、Dativになると単数であっても「dem Menschen」のように、語尾にenがつくようになります。「dem Menschen 」となっているのは、beschäftigen mit
(mit の後は必ずDativ)だからです。
<全体訳>
前回(または最後)の映画の中で老フリッツは30年ほどのちにもう1度、彼のメインテーマの
1つである、「権力や支配の手中にある意志のない道具としての人間」について取り組んでいる。
(この全体訳は、前後の文章が無いので解釈が異なるかもしれませんのであしからず)